企業における世代別社員の課題【社員教育相談室】
- 20代、30代、40代社員に見られる傾向 -
1. 世代別社員の課題
独立行政法人労働政策研究・研修機構(以後 労働政策機構)は「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」(回答3,392 社)の中で、40代から20代までを3つの世代に分けてそれぞれの資質を比較調査しました。
(1) バブル期までに採用された世代(40 代以上)
(2) バブル崩壊後1990 年代に採用された世代(主に30 代)
(3) 2000 年代に採用された世代(主に20 代)
調査結果は下記の通りです。
A「自ら考え、行動することができる」
(40代以上 60.1%)(30代 33.9%)(20代 7.3%)
B「指示されたことだけをやっている」
(40代以上 10.7%) (30代 18.0%) (20代 59.8%)
若い世代ほど自ら考え、行動する力が低く、指示待ち人間の傾向が見られます。
A「失敗や困難があってもやり遂げようとする意思が強い」
(40代以上 67.2%) (30代 38.6%) (20代 9.4%)
B「 失敗したり困難な仕事に直面すると自信を失ってしまう」
(40代以上 5.9%) (30代 13.4%) (20代 47.0%)
若い世代ほど失敗や困難に対する耐性が弱くなっています。
A「仕事におけるコミュニケーション能力にたけている」
(40代以上 60.2%) (30代 40.3%) (20代 13.7%)
B「職場においてコミュニケーションをうまく図れない」
(40代以上 5.6%) (30代 9.1%) (20代 39.7%)
20 代は職場でのコミュニケーション能力に課題があると考える企業の割合が高くなっています。
A「チームの一員としての役割を果たそうとする意識が強い」
(40代以上 45.8%) (30代 40.4%) (20代 39.2%)
B「他の社員や部門を引っ張っていくリーダーシップがある」
(40代以上 21.5%) (30代 10.6%) (20代 11.2%)
若い世代ほどチームの中における役割やリーダーシップの面で課題が多いと見る企業の割合が高くなっています。
世代別の調査で浮き彫りになったのは、若年層のコミュニケーション能力、自ら考え行動する力、困難を乗り越える力や、リーダーシップでした。20代の若年層のコミュニケーション力と、メンタル面の弱さがデータとして明確になりました。
この若年層の問題は、現在の新入社員であるうちは、まだそれほど大きな問題ではありません。本当の意味での大きな問題となるのは、現在の20代の世代がそのまま30代、40代と管理職世代に移っていった時です。「ゆとり世代」の後は「脱ゆとり世代」です。ゆとり世代が管理職となった時、どのような世代が彼らの後輩として入ってくるのでしょうか。上司と部下の資質が逆転現象になった時に、その歪みをどう解決したら良いのでしょうか。そうなる前に、今やることは、20代に不足している「コミュニケーション力」と「自ら考え行動する力」の育成をし、骨太の社員に育てることが急務なのでしょう。
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